Mamaのつぶやき

子育ては終わったけれど‥これからの生き方を考えつつ、平凡なシニア主婦が呟きます

2019年01月


Rが亡くなる前日、不思議な事がありました。


黒い猫が突然庭から家の中に入ってきました。


洗濯物を干そうと窓を開けたところ、飛び込んできたのです。


近所の猫が庭の塀を通り抜ける事はありましたが、見た事の無い綺麗な黒い猫です。


長い間住んでいる家ですが、これまで猫が家の中に入ってきた事はありませんでした。


窓の近くにRが寝ていたため、猫を外に出そうとしましたが、さっさと中に入ってしまい、すばしっこいのです。


Rに気がついても何の反応もしない黒猫。

猫が大好きで、見かけるといつも「ねえ、遊ぼう」と声をかけていたRでした。でもいつも「シャーッ」と睨み付けられて、がっかりしていました。

もう意識も無いRでしたが、猫に気が付いたらもしかしたら、喜んで反応するかなとも思いました。

残念ながら、何の反応も無く、猫がそばに来ても、寝ているだけでした。


黒猫をつかまえて、外に出しました。でも、また中に入ろうとします。「今はダメだよ。病気の犬がいるの。おうちに帰りなさい」と言って、猫を庭の外に出そうとしましたが、何回やっても、敷地内に入ってくるのです。

何故そこまでして我が家に入ろうとするのかなあと思いました。Rの存在が原因だろうと思いましたが、猫はRには何もしませんでした。
もし、臭いのせいだとしたら、他の猫も寄ってきたでしょう。黒猫は、Rの方を見向きもしませんでした。

黒猫をやっと庭の外に出して、猫はどこかにいなくなりほっとしました。
Rが元気だったら、歓迎したのですが。

その日の夜、激しい雨が降りました。

朝には雨は止んで、窓を開けると、庭の先に猫がいました。


塀の上で、雨にぬれたままこちらを向いてじっと座っていました。いつからそこにいたのだろう、雨に濡れて大丈夫かなと心配になりました。


まるでRを外から見守ってくれているかのようでした。


その日、Rは旅立ち、黒猫はいつのまにかいなくなり、それから一度も姿を見せなくなりました。

あれは何だったのでしょう。Rを天国に連れて行く使者だったのかなと家族で話していたほどです。





話は戻りますが、Rが亡くなる前にとった動作を思い出しています。

何度もペットを見送った方なら、すでにご存じかと思いますが、私は初めての体験でした。
今思えば「もうダメなのかもしれない」「お別れが近いのかも」と感じられる動作がいくつかありました。
これを知っていれば、最期に一緒にいてあげられる可能性が上がり、心の準備もできるのではないかと思います。辛くて認めたくは無い事ですが。

その仕草は……

🌟水を飲んだり、ご飯を食べる時に首が支えられない。下を向いて水を飲めなくなるので、口まで運んであげないと飲み食いができません。

🌟寝ている途中に顔を持ちあげては、ばたんとまた寝る。これは、結構繰り返しました。

🌟瞼が閉じなくなる。眼球が乾いてしまい、変形する。

🌟鼻から臭いのする液体がでる。呼吸の度にズルズルと音がします。目からも少し出始めます。

🌟頬が膨れたりしぼんだりする。呼吸困難の状態だそうです。

🌟身体から強い臭いがする。体内で感染により腐敗がおきていたのかもしれません。

🌟のびをする。呼吸が止まる直前に、手足を大きく伸ばしました。



思い出せるのはこの位です。ため息もついた様な気もしますが、記憶が曖昧です。

介護状態の犬が、弱ってきて、この様な動きをする様になったら、気をつけて見守ってあげたいものです。でも、付きっ切りでいられないので、難しいですよね。

突然のお別れをするワンちゃんもいますので、辛いですが、次第に弱っていき、最後を看取れたのは幸せな事だと思っています。

その方がRも喜んでくれるかな。





Rが重症になってからわかった病気「腸リンパ管拡張症」とはどんな病気なのでしょう。

簡単にまとめてみました。

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腸管と腸のリンパ管を圧迫する腫瘍などが原因で、リンパの流れが妨げられ拡張し、機能不全を起こす病気です。
リンパ管内のリンパ液が腸管の内腔に漏れ出てしまう為、タンパク質も出てしまいます

慢性の下痢が続き、体重減少、腹水、胸水、浮腫も起こる事があります。


腸の組織を一部切り取って病理組織的検査をしないと確定診断はできないそうです。

完治は難しい病気の様です。

治療は、食事と薬です。低脂肪食にし、ステロイドの投与を続けます。腹水がある場合は利尿剤を使う
こともあります。


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Rの場合は、老犬で、かなり進行していたため、病理検査はしませんでした。血液検査だけやりました。その結果は非常に悪く、その為、無理な治療はしないことに医師も賛成してくれました。


今こうやって、思い出していくと、「あれで良かったのかな」という思いが出てきます。


見た目は穏やかだったけど、Rは苦しかったのだろうな、お腹も痛かったのではないかな、と想像してしまい、わかってあげてなかったのではないか、もっといたわってあげたらよかったのではないか、と反省の気持ちがわいてきます。

犬は我慢強いです。もし、同じ症状が自分自身に起こったら、どんなに弱音を吐く事だろう。

もっと苦しさをわかってあげたらよかったと、今更ですが自分を責めています。

寿命だったのだと諦めてはいましたが…、ペットロスとはこんなに辛いものなのですね。







ペット霊園に行こうと思っていました。


しかし子どもが反対。

「遠い知らない所に置いて帰るなんてできない。Rはきっと自分は捨てられたと思っちゃうよ。いつも一緒にいたい。」と涙を浮かべて訴えました。

確かにそうです。病院に入院した時、不安そうだったあのRの顔が浮かびました。

霊園は丘の上にあります。行った事もないところだからさぞ怖い事でしょう。

もし家を引っ越す事があったら、骨を掘り返せば良いのです。

リビングから良く見える所に埋めることにしました。


子ども達が早朝から穴をほり、泣きながらそっと亡骸を置きました。お花と一緒に。


亡くなる前日にRと一緒に眺めた金木犀の木の下です。
      

満開だった花はもうほとんど散っていましたが、不思議な事に、再び満開になり、お墓の上に沢山の黄色い花を散らしました。まるで止まらない私たちの涙のように。


金木犀の香りが漂う季節になると、この日の事を思い出します。


ペットとの別れは、もしかしたら人間との別れより辛いかもしれません。心を通わせたペットは、純粋で人の心を清めてくれる存在であり、愛おしく、心の支えにもなってくれるものだからです。


本当の慈愛を感じさせてくれる存在を失うのは、身体の一部を無くしたも同然と言えます。


その日以来、初めてペットロスというものを知りました。





Rがのびをした後、オムツを交換しながらもしや…と、嫌な予感がしました。


そして、様子を良く見ると、いつもならくるんと横になるRの身体が、だらんと力が抜けていました。


「Rを見て!」と傍にいた子供に叫びました。そしてRから目を離しませんでした。

首から胸にかけて見えていた呼吸の動きが弱くなったかと思うと、すうーっとゆっくり動きが止まりました。
オムツを換えてからあっという間でした。


とても静かに息を引き取りました。静かに眠る様でした。

少しでも目をそらしていたら、気がつかなかったはずです。

その瞬間に立ち会えた事は奇跡でした。子どもも、たまたま学校が休みだったし。


普段なら私は仕事や買い物、子どもは学校で、誰もいない時間だったかもしれません。


Rにきちんとお別れができたのは、Rからの最後の最高のプレゼントだったと思います。


呼吸が止まってから、心臓の音を聞く為、聴診器をあてました。するとびくっと身体が動いたので驚きました。

まだ生きている!と思った瞬間、口から一気に「はーっ」と息を吐きました。肺の空気が全て出た様でした。


それまで閉じていた口が大きく開き、そのまま固まってしまいました。それが本当の最期の姿でした。


口からもどこからも何もでませんでした。とても綺麗な姿でした。

最後のトイレの時、大量に便がでたあの時が内臓的には最期だったのかもしれません。あの時、腸を空っぽにしたのでしょう。

おしっこは直前にしたばかりでした。


目は前から開いたままでしたので、そっと閉じてあげ、口も閉じてあげました。

すると本当に安らかな寝顔になって、とても天国にいったとは思えない可愛さです。


この時は、自分が看取れたという満足感みたいなものがあって、まだ実感がわきませんでした。


夜はいつものように、私の横でいつものベッドで並んで寝かせました。

やっと楽になれたんだねとホッとする気持ちと、明日からはもうRには会えないんだと思うと寂しさが夜になるとどーんと襲ってきたのです。


家族の前では、冷静だったのに、布団に入ると涙があふれてとまりませんでした。     


        inu
 







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