薬をのますのをやめてから次第に元気になってきたR。


ぐったりして水も受け付けなかったのに、ごくごく飲みだし、ご飯も食べる様になりました。


薬が完全に身体から抜けた後は、嘘の様に復活しました。


でも、病気は治った訳ではありません。それでも、Rの生命力には驚きました。


当時、桜が咲き始めた頃でした。「Rに桜を見せてあげよう」と思い、近くの桜並木にRを連れてお花見に行きました。


散歩以外で外出したのは久しぶり。


公園で風を感じ、桜の香りと花びらに包まれて、Rは楽しそうでした。


その日から、益々食欲がでてきたR。以前の下痢や腹水もありません。


本当に末期だったのかなと感じるほどでした。


でも、シャワーをすると、痩せこけているのがわかりました。顔も細くなっています。


薬もやめて、このまま自然にゆっくりと過ごせたらいいけどなと祈る日々。



春が過ぎ、夏になると、再び腹水が溜まってきました。痩せていましたが、毛と腹水であまり目立ちません。


番犬の仕事もちゃんとやっていて、知らない人が来れば吠えます。玄関まで走っていきます。


まだ元気だぞと言っている様に見えました。


手作りのご飯に飽きたのか、好き嫌いをする様になってきました。


たまに牛肉の脂分を落としたものをあげたり、脂肪分の少ない市販のレトルトのおじや風のフードもあげてみたりします。

ここまでくると、食べるものは何でもあげようと、おやつでも何でもとにかく食べてほしいと思うようになりました。

犬にとっての1日は、人間より老化のスピードが速い訳で、毎日を必死で生きているRに、好きなものを食べてもらい、ストレスの無い生活をしてほしいと願っていました。


最初に病気がわかって、余命宣告されてから10か月が過ぎていました。


良くなったり、悪くなったりを繰り返しながらも、苦しむ様子は見せず、静かにゆっくりと弱って行く様でした。

秋には13歳の誕生日がきました。誕生日まで生きててほしいと願っていた我々家族にとって、本当にうれしい事でした。

誕生日が過ぎた後、益々食欲が無くなり、動きもゆっくりになってきました。水は良く飲んでいます。


トイレは外でしたがるのですが、階段をトントンと降りていく事が負担になっていた為、楽に降りれるように、段差を浅くしてあげたりもしました。

時に降りる力が無く、その場にじっと座り込む事が増え、抱っこしてそっと外に出してあげる様になりました。腹水のせいで、またトイレが近くなっていました。

無理に外でしなくてもいいように、室内トイレを外にでる出口の場所に置いておきます。力が無い、間に合わない時は、そこで用を足す様になり、少しほっとしたものです。

Rにとっては、外で出来なくなった事を悔しく思っている様な、室内でトイレをするなんてダメな事だと思っているのではないかと感じるのです。犬のプライドというか、R自身が「こんな風になって情けない」と思っている気がしました。


トイレに間に合わない事が増え、下痢の回数も再び増えてきました。マットを汚す事も多くなり、毎日新聞紙を床に敷き詰めたり、マットを洗う日々。これが飼い主のやるべき責任であり仕事です。


誰も文句なんかいいません。人間と同じです。誰でも最後はこうなるのです。


誕生日から1か月後、朝は早く起きてきていたのが、起きてこず、寝てばかりいる日が増えてきました。